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確率変数の変数変換

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(1)確率表現

(連続型)確率変数は確率要素dPが、密度関数f(x)と、確率変数の微小変化dxによって次のように表されるものをいう。

dP(x)=f(x)dx

したがって、ある確率変数Xの確率P(X≤x)は、

P(X≤x)=∫f(u)du  (積分範囲は、-∞からx)

となる。この確率変数になんらかの変換処理が加わって、新しい変数となった場合を考えよう。もちろん新しい変数はやはり確率変数であるが、その確率分布はどうなるかということである。

(2)線型変換

分かりやすいY=aX+b という線型変換を調べる。もとの確率変数Xから、この線型変換によって新たな確率変数Yを作って、そのYの確率分布がどのような性質を持つことになるかが焦点である。もちろんもとの変数Xがどのような分布に従っていたかに依存するわけであるから、単純な議論ではないので、糸口をつかむために具体例からはじめよう。もっともよく利用されるのは正規分布であるので、X〜N(μ,σ2)として、このXをY=aX+b という線型変換をする。(a、bは任意定数)

冒頭の確率変数の定義ごときものによれば、確率要素は密度関数と微小変化からなるのだから、確率変数変換の影響は密度関数と微小変化の二つに影響する。みっつまとめれば

x→(y-b)/a  :xの逆変換
f(x)→f((y-b)/a)  :逆変換したxの代入
dx→|(1/a)dy|  :微小変換の調整

ということである。最後のdxの変化はなんだろうと思うかもしれないが、y=ax+b をxで微分することを考えれば納得がいくだろう。yの微小変化はxの微小変化をa倍したものとなるのである。絶対値は当然微小変化が負になることを防いでいるのだが、頭に入れていただいて以下では省略してしまおう。線型変換では微小変化の大きさは変化の強さを示す傾きだけの影響を受ける。これは多変数となるとヤコビアンと呼ばれるものになる。概略は合成関数の微分と積分の変数変換を参照されたい。
すると、三つまとめて、

dP(x)→dP((y-b)/a)=f((y-b)/a)(1/a)dy

と書けるのだが、これをdP(y)=g(y)dy という形に直すのは、具体的にやってみるしかない。線型変換ですらこの段階で実務的な適応が難しくなるのであって、不定形な関数を前提とすると変数変換が分かりにくくなるのはいたしかたないのだろう。いきなりなんだが、要するに変数変換の要諦は密度と微小変化の二つを考慮に入れることと後は計算力になるのである。省略してしまった絶対値の考慮と、さらにもう少し詳しい条件を付けると、新たな変数から元の変数に戻すためには逆変換が必要となっている。逆関数が一価で値をとることが必須であって、一般にこの条件は理論でも現実でもかなり厳しく、正しく取り扱うのはなかなか難しいのである。しかし線型変換はこの悩みは生じないメリットがある。

もとに戻って、x〜N(μ,σ2)であるから、

正規確率素分

dP((y-b)/a)というのは、もとのxにこだわった表現なので、単純にdP(y)とすれば、右辺を書き直すと、

正規分布線型変換

となって、平均aμ+b、分散(aσ)2に従う正規分布の確率要素となる。すなわち正規分布の線型変換はやはり正規分布となるのである。

これは非常に有効な結論であって、何故かといえば、正規分布確率変数は、a=1/σ、b=-μ/σとおけば、Y〜N(0,1)という標準正規分布に常に変換できるのである。

逆に、出発点をZ〜N(0,1)としよう。このZを変数変換X=σZ+μとするとX〜N(μ,σ2)となり、Y=aX+bとすれば、Y〜N(aμ+b,(aσ)2)となるから、
Y=aσZ+aμ+b
であると考えることができる。このZはもちろんN(0,1)であるから、改めて定数をα、βとおきなおせば、
Y=αZ+β
となって、正規分布に従う確率変数は、線型性を維持するために常に標準正規分布の確率変数によって1次関数表現することができることとなる。そして1次関数の傾きは標準偏差、切片は平均となるのである。リターンを平均、リスクを分散で扱うファイナンスではブラウン運動や中心極限定理で近似させた確率変数を標準正規分布に従う確率変数の1次関数で表現することはよく行われる。たとえば、r=μ+σW として、W〜N(0,t)とするような場合である。これは直ちに、r=μ+σ√(t)Z、Z=N(0,1)とできるし、r〜N(μ,σ2t)と取り扱うこともできるのである。この具体的な活用は将来株価の確率分布で述べた。

また中心極限定理によって、なんらかの確率変数を正規確率変数に近似させたとしよう。するとその確率値は直ちに求められるのであって、最近はPCの普及でさほど必要性を感じなくなったが、標準正規分布の確率の数表が統計のテキストには間違いなく添付されていたのであった。

(3)対数変換

正規分布が、指数となった場合については、すでに対数正規分布ということで述べた。すなわち、X〜N(μ,σ2)であるとき、Y=exp(X) がどういう分布を持つかということである。両辺の対数をとれば、X=logY であるから、logY〜N(μ,σ2)ということである。やはり同じやり方を考えればよい。

x→logy
f(x)→f(logy)
dx→(1/y)dy

となって、ほとんど線型変換と同じ形式となる。ただyは定数ではなく変数である。そして積分範囲の変更だけ注意しよう。-∞<X<∞は、0<Y<∞である。

(4)2乗変換

正規分布の確率変数の2乗、すなわちY=X2が従う分布については、やはりすでにガンマ分布になることを述べている。やはり同様に、

x→√(y)
f(x)→f(√(y))
dx→(1/(2√(y)))dy

である。

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