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熱伝導方程式とフーリエ変換

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熱伝導方程式

フーリエ変換は物理、工学の様々な分野で活用されるまことに有用な手法である。理論というより応用技法がすばらしい結果を生み出しており、実数まで範囲を広げたラプラス変換を含めれば、説明は非常に多岐にわたることになる。変換の源は三角関数を利用した周期関数による波形の近似であって、それをオイラーの公式を利用することで複素数に展開したものである。しかしここでは目的を絞って、ブラック・ショールズで利用された熱伝導方程式とその解を求める部分に焦点を当てよう。熱伝導方程式とその解は次のものであった。

熱伝導方程式

まずこの解を得ることを目標としよう。

フーリエ変換

さて、フーリエ変換(あるいはフーリエ積分)はつぎのような内容を持つ。フーリエ級数からフーリエ変換への発展は線型代数の章で紹介している。そして生い立ちそのものはその章の中のフーリエ変換の項を参照されたい。

フーリエ変換

xは積分消去されるので、wの関数となることに注意しよう。簡単にいえばフーリエ変換は複素積分による変数変換なのだが、熱伝導方程式を解くためには、多々の問題を解く際にも有用となるいくつかのフーリエ変換の公式が必要となる。これらを先に述べておこう。

<補題1>
微分した関数のフーリエ変換は、原始関数のフーリエ変換にiwを乗じたものとなる。すなわち、f’(x)=iwf(x)

証明

微分フーリエ変換

仮定のlim f(x)=0 (|x|→∞)が気になるかもしれないが、もともとフーリエ変換の存在が絶対積分可能を前提としているのでそこは鷹揚にかまえよう。

この公式を2回利用すれば、f’’(x)=-w2f(x) が直ちに得られる。

次の補題に進む前に、関数の畳込み(あるいは合成積)を定義する。

<畳込み>

関数fとgの畳込みf*gは、次のように定義される関数h(x)である。

h(x)=(f*g)(x)=∫f(s)g(x-s)ds  (積分範囲は-∞から∞)

関数の畳込みとは、ふたつの変数の関数の積[f(x)g(y)]があるとき、x=X、y=X-tとしてtを積分消去し、大雑把ではあるが1変数の取り扱いやすい関数を作り出すことを狙った操作である。

<補題2>

畳込み関数のフーリエ変換は、それぞれの関数のフーリエ変換の積に√(2π)を乗じたものとなる。

証明

フーリエ変換合成積

この結果を利用すれば、(f*g)(w)=(1/√(2π))h(w) となるが、さらにもう少しひねった公式が得られる。それは次のとおりである。

<補題2関連>
(f*g)(w)=h(w)ならば、h(w)=(1/√(2π))(f*g)(w)

証明

k=(1/√(2π))(f*g)(w)とおく、補題2より、
k(w)=√(2π){(1/√(2π))(f*g)(w)}=(f*g)(w)
ところが、(f*g)(w)=h(w)なので、
h(w)=k(w)だから、
h=k=(1/√(2π))(f*g)(w)

厳密には、h(w)=k(w)ならば、h=k の証明は単純ではないが、ここはよしとしよう。

<補題3>
よく知られているフーリエ変換の公式

フーリエ変換公式

証明は各自試みられたいが、ひとつも解かないではイメージも沸きにくいと思うので、簡単な例題を挙げておこう。特別なテクニックではない。

フーリエ変換例題1

フーリエ変換例題2

このほかに確率密度関数と特性関数の相互変換をフーリエ変換を使った例題としてフーリエ変換(例題)の項に載せているので、参考にされるとよいだろう。

熱伝導方程式の解法

さて、すべて準備は整ったところで熱伝導方程式は次のように解く。

フーリエ変換熱伝導1

2行目は偏微分方程式の右辺を代入し、3行目に補題1を2回利用している。
このuの1階の偏微分方程式は変数分離型で解けて、

フーリエ変換熱伝導2

補題3の例題から、

フーリエ変換熱伝導3

である。

故に、u(x)=z(x)f(x)  となる。

ここで補題2の関連を適応すれば、

フーリエ変換熱伝導4

これで熱伝導方程式の解が得られた。

確認の検算をしておこう。先に部分的な計算をする。

フーリエ変換検算1

方程式の左辺

フーリエ変換検算2

方程式の右辺

フーリエ変換検算3

フーリエ変換検算4

両辺が等しくなって、当初の偏微分方程式も成立していることが確認できた。

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